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- 日本公開
- 2015年
- 原題
- 『몬스터』
- 時間
- 113分
- 監督
- ファン・イノ
- 主要キャスト
- イ・ミンギ/キム・ゴウン/キム・レハ/キム・ブソン/アン・ソヒョン/キム・ボラ/パク・チョルミン/パク・ビョンウン/ペ・ソンウ/ユ・ジェミョン
※以下ではネタバレを含みますので、まだご覧になっていない方はご注意ください!
予告動画
たまに観たくなるのが韓国映画、本作はバイオレンスありコメディありと結構振れ幅が大きくどういう方向に進みたかったのか少し疑問が残った作品でした。
それでもイ・ミンギ演じる殺人鬼の言動は鳥肌もの、これだけでも観る価値はあると思います。
姉妹を殺された2人の少女とその姉妹を手にかけた殺人鬼との壮絶な逃走劇を描いたアクションスリラー映画『その怪物』です。
映画【その怪物】の簡単なあらすじ
務めている会社の社長から暴行を受けた様子を携帯で撮影し、それを材料に多額のお金を受け取ろうとするヨニ。
動画を世間に出させるわけにはいかない社長は、甥であるイクサンに金を託し携帯を回収するよう頼んだ。
イクサンは金を受け取ったものの自身の家庭も貧窮だったため、欲に目がくらむと金を懐に忍ばせてしまう。
ヨニに金を渡さずに何とか携帯を回収する方法は無いかと考えたイクサンは1人の男に電話を掛ける、それは義理の弟のテスである。
人を殺めることになんら抵抗を感じないテスにイクサンは恐れを抱いていたものの、彼の力を借りれば強引にでも携帯を手に入れられるだろうと踏んだのだ。
要求を呑んだテスはヨニの家に行き携帯を渡すように促すが案の定拒否されたため彼女を手に掛ける、しかし家の中にはヨニの妹であるキェ・ナリがいた。
彼女を車に乗せ山奥にある陶芸工房に向かったテスは、酒を飲みながら自分が酒を飲み終わるまでは逃げてもいいと生きるチャンスを与える。
もちろん捕まってしまえば殺されてしまうし助けを求めた人物も手にかけるとゲームをするかのように告げたテスを尻目に、一目散に山を駆け下りていくキェ・ナリ。
必死に走り抜け彼女が辿り着いた先は姉妹で慎ましく暮らすボクスンとウンジョンの家だった…
イ・ミンギ演じるサイコパスなシリアルキラーに背筋が凍る
本作の一番の見どころといえばやはり殺人鬼のテス、無表情で人を殺そうとしたかと思えば楽しそうに笑顔を見せながら血祭りにあげる様とのギャップには久しぶりにゾクッとしました。
あくまでメインは逃走劇でアクションはそれほど多くあるわけではないのですが、そんな中でもアクションシーンには目を見張るものがありました。
ジョン・ウィックが鉛筆で敵を次々と倒していったようにテスは割り箸を相手の喉元に突き刺して瞬殺します、わずか数秒のシーンですがこの場面は必見です。
©2015 몬스터/その怪物より引用
本当に格好良い…
遺体の処理方法がマジキチ過ぎる…
そんな人を殺すのになんの迷いもないテスですが死体をそのまま放置するほど馬鹿ではありません、そんなことをすればすぐに足が付いて捕まってしまうからです。
ではテスは一体どのような方法で遺体を処理していたかというと…
©2015 몬스터/その怪物より引用
遺体を焼いて陶器の材料にするのです
これだけでテスが相当ヤバい人物だということがお分かりいただけると思いますが、恐ろしいのはその数。壁一面にびっしりと壺が陳列されているのです。
©2015 몬스터/その怪物より引用
壺の前に置かれている木製のプレートには被害者と思わしき名前が刻まれており、このことからもテスは相当な数の人を殺したということが見て取れます。
久しぶりに胸糞悪い気分になると同時におぞましい気持ちになりました。
追われる身のボクスンも中々の変わり者
こんなマジキチ野郎なテスと対峙するのはこれまた少し変わり者のボクスン、大声で喚き散らしたり喧嘩っ早いところがあったりと少しクセのあるおてんばな女の子です。
若干知恵遅れというか不思議ちゃんというか、簡単にいえばドラマ版のだめカンタービレののだめを彷彿とさせました。見た目もどことなく似ているかもしれません。
©2015 몬스터/その怪物より引用
テスのターゲットであるキェ・ナリを保護したことにより妹のウンジョンも犠牲となり、残ったボクスンとウンジョンは2人でテスの魔の手から逃げることとなります。
ラストバトルは狂気VS狂気
物語の終盤はテスとボクスンの直接対決、このラストバトルが狂気と狂気のぶつかり合いで最後の最後でまたゾッとさせてくれました。
少し目を離した隙にキェ・ナリをテスに攫われてしまい、やっとの思いでボクスンが辿り着いたのは2人がいる店。
しかしそこは既にテスが殺人を働き、辺りは一面血の海に。キェ・ナリも首を絞められて今にも殺されてしまうところでした。
©2015 몬스터/その怪物より引用
キェ・ナリを助けるため鞄に忍ばせていた包丁を取り出すと躊躇うことなく一直線にテスの元へと駆け寄り刃を突き刺すボクスン。
©2015 몬스터/その怪物より引用
「どうだ、クズ野郎…」
妹を失った悲しみやキェ・ナリを助けたいという思いなど、様々な感情を込めた一撃をテスにお見舞いしここから最後の戦いが始まります。
既に一悶着していたテスはこれが深手となり、大幅に戦力がダウンしたことでそれほど戦闘力があるわけでもないボクスンでも対等に戦えるようになったのです。
ぐったりしているキェ・ナリを座布団の上に寝せるとボクスンは再びテスに立ち向かうのですが、復讐を誓ったボクスンはここから覚醒します。
何を思ったのか床に広がる血をすくうとおもむろに顔に塗りたくり、奇声を上げながら果敢にもテスに突っ込んでいくのです。
それまではテスにしか恐怖心を覚えていなかったのですが、ここに来てボクスンも結構ヤベー奴だなと戦慄しました。
この血化粧ともいえる行為、範馬刃牙に出てくるミスターセカンことゲバルを思い起こさせて中々に格好良かったです。
気になる箇所もチラホラと
テスとボクスンたちの追撃パートやバトルパートは本作における大きな見どころでありますが、不満というか気になった箇所もいくつかありました。
警察が無能過ぎる
まずは警察が全然使えないということ。
ウンジョンがテスに襲われた時に一度は救い出すことに成功したボクスンは助けを呼ぶため一度妹の元を離れるのですが、戻ってきた時にウンジョンは姿をくらましてしまいます。
警察に捜査を依頼するものの信憑性の低いボクスンの証言に警察官はまともに取り合ってくれず、ウンジョンをただの家出と決めつけて早々に捜査を打ち切ってしまうのです。
ボクスンとキェ・ナリが街中でテスに遭遇した際に偶然近くにあった警察署に逃げ込んだ時もボクスンが少し目を離した隙にあっさりとテスにキェ・ナリを引き渡したりとまさしく無能オブ無能な警察。
もう少し警察がまともな捜査をしていれば被害は最小に抑えられたのかもしれません。
テスの過去があまり描かれていない
本作最大の敵であるテス、なぜ彼が冷徹な殺人鬼となったのかその生い立ちがよく分かりませんでした。
物語に登場するテスの家族は兄のイクサンと母親の2人なのですが本当の家族ではありません、実はテスは幼い頃に拾われて養子となったのです。
しかし一緒に生活していく中で彼の猟奇的な性質に気が付いた母親たちは恐れをなし、テスを戸籍から抜いた挙句に音信不通とひどい仕打ち。
©2015 몬스터/その怪物より引用
そして力を貸して欲しい時にだけ連絡を取ったりゴマをすろうとするこの家族にも胸糞悪さを感じましたが、テスがなぜこのような人間になったのかその背景がよく分かりませんでした。
生まれ持っての性格なのか何かきっかけがあってこうなってしまったのか…コメディ要素を減らしてその辺をもう少し深堀りしてほしかったです。
社長の一人勝ちがスッキリしない
全てはイクサンの叔父である社長が従業員のヨニに暴力を振るったことから始まったのですが、結局この社長が携帯を回収して撤収するのが一番スッキリしなかったです。
ボクスンがテスを倒した後にタイミングよく店に来て携帯を頂戴し自らの手を汚すことなく事件の証拠の隠蔽に成功しそのままエンディングへと進んでいくので、せめて最後の最後に何らかの天罰的なものを下して欲しかったような気もします。
でも悪が一人勝ちするのって今まであまり観たこと無いから新鮮といえば新鮮でした。
映画【その怪物】の感想を簡潔に

コメディ要素とバイオレンス要素の波状攻撃に、どういう方向で着地したかったのか少し謎が残った作品。
それでもイ・ミンギ演じるテスのシリアルキラーの不気味さは◎でした。
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本ページの情報は2019年9月15日時点のものです。配信が停止されている場合もあるので、最新の配信状況はAmazonプライムビデオサイトにてご確認ください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
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