この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。
- 公開
- 2017年
- 原題
- 『Atomic Blonde』
- 時間
- 115分
- 監督
- デヴィッド・リーチ
- 主要キャスト
- シャーリーズ・セロン/ジョン・グッドマン/トビー・ジョンズ/ジェームズ・フォークナー/サム・ハーグレイブ/ヨハネス・ヨハンソン/ジェームズ・マカヴォイ/ソフィア・ブテラ/ローランド・ムーラー
- ※以下ではネタバレを含みますので、まだご覧になっていない方はご注意ください!
予告動画
2017年に公開されたこちらの映画。女スパイが主人公の映画を僕自身観たことが無いというのと予告映像を見て面白そうだと直感し観に行こうとはしていたのですが結局は行けずじまいでした。
しかしこの度Amazonプライムビデオに追加されたため早速鑑賞。
主演はシャーリーズ・セロン、名前は聞いたことがあるものの正直代表作やどのような演技をするのか全く分かりませんでした。しかし本作では体当たりのアクションを余すところなく見せてくれました。
ちょっぴり百合要素もあるとのでそういうのが好きな人も楽しめる作品です。
映画【アトミック・ブロンド】の簡単なあらすじ
オシャレ番長なロレーン姐さん
本作の中ではアクションシーンが見どころの1つではありますが、それ以外にも注目したのがロレーン・ブロートンのファッション。シャーリーズ・セロンが着こなしているからと言われればそれまでですが、彼女が身に纏う服全てがいちいちオシャレ。
©2019 Atomic Blonde/アトミック・ブロンドより引用
男のスパイであればスーツ姿が定番ですが、ロレーン姐さんは違います。スパイであるため時には戦闘になり服を血で汚すこともあるのにそれでもそこはやはり女性、オシャレに妥協はありません。
しまいには「警察が来たら違う服を着ていったのに」とまで言う始末、姐さん流石っす…
このように劇中ではロレーンの様々なファッションを楽しむことができるのですが、個人的に好きだったのは片側だけオフショルダーの服装。登場する時間はそれほど多くはないのですが2回ほど出てきまます。
オフショルダーなので肩が出ていてとってもセクシーでございました。
女性ならではの戦闘方法
身近にあるものを巧みに使う
主人公であるロレーンの性別は女性、体格や力ではどうしても男性に劣ってしまいます。なのでその欠点を補うためロレーンは何か策を練らなくてはいけません。
そこで彼女は身近にある様々なものを利用して男性の敵に対抗しました。
©2019 Atomic Blonde/アトミック・ブロンドより引用
アクションシーン別に見てみると…
①車内での戦闘
→自身の履いていたハイヒール
②ガスコインのアパートでの対警察戦
→ロープ・フライパン・冷蔵庫の扉
③映画館での戦闘
→脚立・棚・鍵
④スパイグラスが狙撃された後に逃げ込んだアパートでの戦闘
→弾切れの拳銃を逆手持ちにして鈍器・スタンドライト・コルク抜き
このように多岐に渡ります。
特に僕を始めとしたジャッキーファンの方であれば、対警察戦でのフライパンや冷蔵庫の扉を利用した戦い方は『レッド・ブロンクス』を彷彿とさせてテンションが上がること間違い無し。
手数の多さ・スピード
力の強い男性に力で挑んでも勝ち目はないので、ロレーンは手数の多さやスピードでも対抗。
映画のメイキング映像でもガスコイン役であると同時に本作のスタントコーディネーターを務めたサム・ハーグレイブが「男が片方の手なら彼女は両方の手を使う」「男が1回殴るなら彼女は3回殴る」と言っていたので、それが顕著に表れていてリアリティを感じました。
絶妙なアクションシーンの間隔
『アトミック・ブロンド』の中で主なアクションシーンは大きく6つに分けることができますが、このアクションシーンの間隔が絶妙で、テンポよく作品を楽しむことができます。
詳しく見てみると…
①車内という狭い密室でのアクション(開始から約16分後)
間隔約15分↳②ガスコインのアパートで警察官とアクション(開始から約31分後)
間隔約14分↳③映画館でのアクション(開始から約45分後)
間隔約26分↳④スパイグラスと共に逃げ込んだアパートでのアクション(開始から約1時間11分後)
間隔約19分↳⑤ラサールVSパーシヴァル(開始から約1時間30分後)
間隔約14分↳⑥ロレーンVSブレモヴィッチ一味(開始から約1時間44分後)
このようになります。
このことからアクションシーンはおよそ15分間隔でやってくることが分かり、どんなに開いても30分以内には激しいアクションを拝むことができます。
あぁ、眼福眼福…
印象に残るアクションシーン時における効果的な音楽
映画『アトミック・ブロンド』はアクションシーンやロレーンのファッションだけでなく、音楽にも注目して欲しいです。
本作では実際に1980年代に流行した楽曲がいたるところで使用されていますが、僕はその頃まだ生まれていなかったのでそのほとんどを知りません。ですが着目して欲しいのは楽曲そのものではなく楽曲が使われた場面、多くはアクションシーンで流れていて彩りを添えています。
ピーター・シリング:Major Tom
序盤の車内でのアクションシーンで流れている音楽はピーター・シリングという人の【Major Tom】という曲で、最初流れている音量は小さいもののサビと思われる辺りから音量が上がりバトルが始まります。これにより視聴者にスリルを与えようとしているのではないかと思いました。
ジョージ・マイケル:Father Figure
ガスコインのアパートでのアクションシーンではロレーン自らが音楽を掛けましたが、考えられる理由として『自分の居場所を悟らせないため』ではないかと思いました。
部屋の中が静かだとわずかな音で自分の居場所がバレてしまいます、相手が複数いる場合少しでも有利に戦うためには自分がどこにいるのかを割られずかつ先手を打つことだと思います。
ロレーンが大音量で音楽を掛けたのはそのためのカモフラージュだったのではないかと考えてみました(ただの素人意見)。
またこの場面で使われていた音楽を調べるとジョージ・マイケルという人の【Father Figure】という曲だったのですが、ロレーンがアパートを脱出した後に声を掛けてきた2人の警察官を倒したのちに音楽も終わります。その曲の最後のフレーズが『’Til the end of time.』という一節で、和訳を見てみると『この命が尽き果てるまで』と翻訳されていたました。
命を懸けて危険な任務に挑むロレーンとマッチしていて思わず「へ~~」と声を上げてしまいました。こういうのは調べてみないと分からないものですね。
無音
本作のアクションシーンでの中でも特にリアリティがあり手に汗握るほどだったこの場面では、今までとは一転して音楽は流れません。
一番の見どころといっても過言でもないワンカット風のアクションシーンは制作陣にとっても特に見てもらいたい場面ではないかと思うので、あえてここで音楽は流さなかったのではないのでしょうか。もしここで音楽が流れていれば逆にリアリティが薄れるかもしれないです。
そして何よりそれまでのアクションシーンで音楽が流れていたのでこのシーンが無音だとより対比が生まれ、僕を含めた視聴者はよりロレーンのバトルに惹き込まれたでしょう。
ティル・チューズデイ:Voices Carry
デルフィーヌVSパーシヴァルのシーンで流れていた曲はティル・チューズデイというバンドの【Voices Carry】という曲なのですが、歌詞の和訳を調べてみたらデルフィーヌの心境とマッチし過ぎていてビックリしました。
デルフィーヌはロレーンに恋心を抱きますが、パーシヴァルの秘密を握っていたがために彼に始末されてしまいます。コードのようなもので首を絞められている最中にロレーンがデルフィーヌの部屋のインターホンを鳴らし無情にも室内に鳴り響いていたブザー音がもの悲しかったです…
ヴラジミール・ヴィソツキー:Кони Привередливые
ラストのロレーンVSブレモヴィッチのシーンで流れていた曲は、ヴラジミール・ヴィソツキーという人の【Кони Привередливые】という曲です。ロシア語なので読み方はよく分からないのですが、翻訳すると『気難しい馬』という意味らしいです。
KGBはロシアの情報局だからロシアの曲が流れていたのだろうと簡単に推測できますが、このゆったりとしつつも力強い音楽は
- 豪華な部屋
- ドレス
- 高級そうなお酒
- ソファから舞い上がる羽毛
- スローモーション
などといった小道具やエフェクトと上手く掛け合わさり、戦闘中においてもロレーンの上品さや優雅さ・強さを上手く表していると思いました。
映画【アトミック・ブロンド】の感想を簡潔に

男性にも引けを取らないシャーリーズ・セロンの体当たりの演技は拍手を送りたいくらい良かったけど内容が少し難しい…
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
コメント