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- 日本公開
- 2019年
- 原題
- 『The Foreigner(英語)』『英伦对決(中国語)』
- 時間
- 116分
- 監督
- マーティン・キャンベル
- 主要キャスト
- ジャッキー・チェン/ピアース・ブロスナン/ケイティ・リューング/オーラ・ブラディ/レイ・フィアロン/チャーリー・マーフィ/スティーヴン・ホーガン/ロリー・フレック・バーンズ/マイケル・マケルハットン
※以下ではネタバレを含みますので、まだご覧になっていない方はご注意ください!
予告動画
中国やアメリカでは2017年に公開された作品なのですが、日本では令和元年の2019年5月3日に公開となりました。
公開前からTwitterなどでジャッキーの死んだような虚無の表情が話題になっていて「これは公開日当日に観なくては!」と意気込んでいたのですが、僕の住んでいる新潟県では公開日が5月17日とまさかの2週間遅れの上映でした…
そんなに待てないと思った僕は何としても公開日に観たいと思い、お隣の福島県まで車で2時間半近くかけて観に行ってきました。
その結果
やっぱり観に来て良かった…
そう思わせてくれるほどの出来でした!!
ジャッキーの新たな一面が観られる映画、『ザ・フォーリナー/復讐者』です。
映画【ザ・フォーリナー/復讐者】の簡単なあらすじ
ロンドンでレストランを営む初老の男、クァン・ノク・ミン。
妻と娘に先立たれ残るもう1人の娘のファンも爆弾テロに巻き込まれ帰らぬ人となってしまう。
生きる希望も目的も無くなったクァンはのちの犯行声明で北アイルランドの副首相が犯行グループと接点を持っていることを知る。
事件の真相と犯人への復讐を果たすため、クァンは副首相へとコンタクトを取るが…
9割5分笑わないジャッキー
©2019 The Foreigner 英伦对決 ザ・フォーリナー/復讐者より引用
公開前から話題になっていた虚無ジャッキー。本作ではこのような失意の底に落ち、埋められない寂寥感をこれでもかというほど見せてくれます。
ジャッキー演じるクァンが笑顔を見せるのは序盤の愛娘ファンと車の中でする会話の一瞬しかありません、それ以外は終始このような生気のない顔でタイトル通り復讐者となります。
ジャッキーといえば笑顔がトレードマークというくらいよく笑い観ている人をも笑顔にしてくれるという印象が強いですが、『ザ・フォーリナー/復讐者』ではその要素が皆無でした。
どちらかというとコメディ色が強く普段から笑顔の彼に慣れ親しんでいる僕からしてみれば、全く笑わずにじわじわと敵を追い詰めていくジャッキーには少し恐怖感を覚えるほどでした。
復讐者になるまで
そんなクァンが復讐の鬼と化すまでの前段階、ここで僕は少し泣きそうになってしまいました。
それはファンを亡くした後にクァンが彼女の部屋に行くシーン。
©2019 The Foreigner 英伦对決 ザ・フォーリナー/復讐者より引用
ほんの少し前まで確かにファンはここにいたかのようにベッドには抜け出した跡、机の上には勉強の途中だったのか開いたままのノート。
その1つ1つを辿り最後は服の匂いを嗅ぎ彼女の存在を思い出しながら悲しみに打ちひしがれる…ここで僕の涙腺が弱まるのが分かりました。
既に2人の娘と妻を亡くし最後の生きる目的や希望だったファンまでをも失ってしまったクァンの絶望がよく表れていて、なおさら彼が復讐者になった時のもう何も失うものはないとでもいうような気概でリアムたちを追い詰めていく様に説得力を持たせていました。
クァンはファンよりも先に亡くなった妻と娘2人が写った写真を燃やすのですが、それが弔いの炎にも見えここからクァンの復讐が始まるといった合図のようにも思えました。
大切な写真を燃やすということはそれだけ大変なことをする、もう引き返せないという意味にも捉えられます。

復讐ダケ…他ハ何モイラナイ…
還暦を優に超えたジャッキーのアクション
『ザ・フォーリナー/復讐者』には大きく分けて4つのアクションシーンがあったのですが、順に見ていくと…
- クァンが宿泊するホテルの部屋での戦闘
- VSヘネシーの手下
- ヘネシーが所有する農場の近くの森での戦闘
- VSヘネシーの手下
- ヘネシーが所有する農場の近くの森での戦闘
- VSヘネシーの甥ショーン
- 爆破テロの実行犯が潜伏している部屋での戦闘
- VSテロリスト
このようになります。
ジャッキーは2019年時点で65歳、とっくに還暦を過ぎていますが依然として激しいアクションを見せてくれます。
全盛期ほどではないもののジャッキー演じるクァンは元軍人という経歴を持っているため接近戦のエキスパート、軍隊直伝の格闘やトラップを駆使して敵を倒していきます。
中でも良かったと思うのが森での戦闘シーン、地の利を活かしてトラップのカモフラージュを施したり枝を武器にしたりとジャッキーお得意の身近なものを活用して戦うスタイルは本作でも健在でした。
そして少しだけ出てくるクァンのトレーニングシーン。
軍隊だった頃から相当のブランクがあり少しでも昔の勘を取り戻そうと運転してきた車の重い扉を何度も開け閉めしたり自身の力だけで車を押したりと、一瞬で終わってしまいますがジャッキーファンにとっては嬉しい一場面ではないかと思いました。
ジャッキー映画にはおなじみの”アレ”が無い…
かくしてクァンは決してハッピーエンドではないもののテロリストに対する復讐を遂げます。こうして物語は幕を閉じるのですが、本作では”アレ”がありませんでした。
”アレ”といえばもう分かりますよね、そう…
NGシーン
ジャッキー映画にとってのNGシーンはもはや定番となりつつありますが、まさかの今回これがありませんでした。
エンディングでは真っ暗な画面にスタッフロールとジャッキーが歌う主題歌、『普通人』の歌詞の字幕が流れるだけ。
他の観客の人達もNGシーンが流れるものだと思っていたのかエンディングの最後まで残っている人が多かったですが、結局最後まで画面が変わることが無かったのでそこだけ少し残念なところでした。
ですが言い換えればジャッキーの歌をより楽しむことができました。この普通人の歌詞が作品ととてもマッチしていてクァンの気持ちを代弁してくれているかのようでした。
NGシーンはいずれ発売されるであろうDVDに収録されることを願います。
映画【ザ・フォーリナー/復讐者】の感想を簡潔に

普段見慣れない虚無ジャッキーには肝を冷やされます、それと同時に悲壮感もひしひしと伝わってくるので一味違ったジャッキーを観たい方には是非ともオススメ!
僕自身ジャッキーの大ファンなのでほとんどの作品がオススメというのはここだけの話(小声)
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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